なつなつ
- 化粧品メーカー研究職の主な出身学部・専攻が分かる
- 研究職と開発職の仕事内容の違いが分かる
- 化粧品メーカー研究職の具体的な仕事内容が分かる
就職活動は情報戦です。自分の人生を決める大事なプロセスですから、しっかりと正しい情報を得て希望の企業の内定を獲得したいですね。
本記事では化粧品業界で研究職として働いている私の経験に基づいて、化粧品メーカー研究職のリアルな仕事内容について紹介します。
ぜひ本記事を就職活動の化粧品業界研究にお役立てください。
なお本記事は化粧品OEMなどの受託生産企業ではなく、研究部門を持つ比較的大手の化粧品メーカーの仕事紹介である点、ご注意ください。
もくじ
研究職とはどんな仕事?
化粧品メーカーにおける研究職の仕事とはどのようなものなのでしょうか?その前に、そもそも「研究職」という職種が日々どのような仕事を行っているかについてまずは説明したいと思います。
ほとんどのメーカーの研究職という職種は、大きく分けて研究部門と開発部門に分けられます。これは化粧品業界に限らず、食品や自動車、化学、製薬業界などほとんどの業界でも同じです。
基本的な部分ですが研究部門と開発部門の違いは多くの就活生が疑問に思うポイントです。まず初めに研究部門と開発部門の違いについてしっかり解説したいと思います。
研究部門
研究部門は文字通り「研究」を行う部門です。大学院で実際に研究をしていた学生さんならイメージしやすいと思いますが、仮説を立てて実際に実験を行い結果をまとめて次の実験を考える、というまさに研究活動自体が仕事となる部門です。
メーカーにおいては製品を日々生み出していく必要があるため、研究対象も製品に関する応用研究が多いです。製薬メーカーなどでない限り、大学で行うような基礎的な研究はそれほど多くないという印象です。
良い研究成果が出れば学会発表や論文投稿も行います。また大学との共同研究などをこの研究部門が主体となって行っていることが多いです。
開発部門
私もそうでしたが、多くの就活生が開発部門のイメージが出来ていないと思います。開発部門は一言で言えば製品を販売するために必要な業務を行う部門と言えます。
例えば化粧品業界であれば、新製品の発売のために製品に配合する具体的な成分の組み合わせ(これを処方と言います)を決めたり、薬事申請と呼ばれる化粧品販売のための申請業務が必要になります。
このような業務はいわゆる大学で行われているような研究活動とは少し異なるものの、理系の知識を必要するため研究職として採用されます。開発部門は「理系の知識を活用して製品を販売するために必要となる様々な業務を行う部門」であると言えます。
化粧品メーカー研究職の学歴・出身学部
次に化粧品メーカー研究職の学歴や学生時代の学部・専攻について解説したいと思います。
化粧品メーカー研究職の学歴
大手の化粧品メーカーであれば最終学歴としては理系大学院卒の研究員が多いです。恐らく8~9割程度を占めると思います。
一部のメーカーでは理系の大学卒や高専卒の学生さんも採用していると思いますが、大卒や高専卒の学生さんは生産系の職種になることが多く、工場における製品の生産・品質管理などが主な仕事になる可能性が高いです。
大手化粧品メーカーの実際の募集要項をいくつか見てみましたが、「理系の大学卒業以上」を募集要件としている企業が多かったです。
しかし実際の研究業務には理系大学院卒レベルの専門知識や実験スキルが必要となることが多く、ほとんどの化粧品メーカーでは研究員の多くが理系の大学院卒だと思います。
採用要件は企業によっても大きく異なるので詳細は各企業の採用担当に問い合わせて頂く必要がありますが、研究職として化粧品の研究・開発に携わりたいのであれば理系の大学院を卒業することがオススメです。
化粧品メーカーにおける博士卒の採用
化粧品業界において博士卒の学生さんは非常に需要があります。私の体感では年々採用数も増えているのではないかと思います。
博士卒の学生さんは研究力も高く、論文執筆や国際学会発表、英語力など研究業務で必要なスキルを一通り身に付けている方が多いです。化粧品業界でも研究業務の即戦力として積極的に採用されています。
ほとんどの場合博士卒の学生さんは「研究部門」に配属され、ご自身の研究スキルを活かして十分に活躍できると思います。また化粧品メーカーの研究職には理系大学院の修士卒で入社する方が多く、会社に入社してから博士を取る人もそれほど多くありません。
そういった意味でも博士号を持っている研究員は少なく、社内でも非常に頼りにされています。
出身学部・専攻・研究分野
次に化粧品業界研究職の出身学部・専攻・研究分野です。
学生時代の専攻についても企業によって大きく異なるため一概には言えませんが、私の感覚だとおおむね化学系と生物系の出身者が半々ぐらいというイメージです。
出身学部としては、理学部・農学部・工学部・薬学部が多いと思いますが、これ以外にも医学部の研究系や情報系学部、心理学部出身の研究員も最近は増えてきています。
近年は化粧品メーカーもアトピーなどの皮膚疾患領域に進出したりしていますし、AIを活用したパーソナライズ化粧品の開発や、脳科学・感情の研究なども盛んになっています。このような背景から医学系、情報系、心理学系学部出身の学生の需要も増加しています。
このように化粧品メーカーの研究員は非常に多様なバックグラウンドを有しているので、ほとんどの学部・学科から化粧品メーカーの研究職を志望することが出来ると思って大丈夫です。
大学時代の研究分野としても非常に様々で、化学系なら有機化学・高分子化学・無機化学・分析化学など、生物系なら分子細胞生物学・微生物学・タンパク質工学・植物学・生態学など本当に多様です。
私のようにケミカルバイオロジーなどの化学・生物融合分野の研究に取り組んでいた研究員も多いですね。
よく「化粧品業界で研究職に就くには大学で皮膚の研究に取り組んでいる必要がありますか?」という質問を頂きますが、そんなことは全くありません。
むしろ私の感覚では大学時代に皮膚の研究をしていた人はほとんどいません。専門性が無くても会社に入社してから皮膚科学や化粧品科学を学んでいる人がほとんどですので、ご安心ください。
化粧品メーカーの研究部門と開発部門
それではここからは、化粧品メーカーにおける研究部門と開発部門の仕事内容についてより詳しく解説していきたいと思います。
研究部門と開発部門の比率
まずは研究部門と開発部門の比率についてです。
こちらも同じ化粧品業界でも企業によって異なるので一概には言えないのですが、私の感覚ではおおむね 研究部門:開発部門 = 3:7くらいの割合だと感じています。
つまり、化粧品業界に内定した学生さんは開発部門に配属されることが多いです。
多くの化粧品メーカーは学生さんを「研究職」として一括採用していますので、研究部門に配属されるか開発部門に配属されるかは入社するまで分からない可能性が高いです。
もし強い希望があるのであれば、内定時に「△△部門で働きたい!」という意思を伝えておいた方が良いでしょう。また企業によっては研究部門と開発部門の区分を設けていないメーカーもあります。
化粧品やスキンケア製品は改良のスパンが比較的早く、コンスタントに新製品を開発していく必要があるので、製品販売に直接的に関係する開発部門の人員が多いのは当然と言えます。
研究部門の仕事内容
次に化粧品業界における研究部門の仕事内容を詳しく説明したいと思います。基本的には先ほども述べたように大学で行う研究活動と非常に似た業務になりますが、製品を見据えた応用的な研究が多いと思います。
生物系の仕事
研究部門の生物系であれば以下のような仕事が多いと思います。
- 皮膚の細胞(表皮細胞や線維芽細胞)を使った実験業務
- 化粧品に配合する新しい植物エキスの効果の検証
- 化粧品配合成分の安全性評価
- 皮膚の紫外線ダメージについての研究
- シミやアンチエイジングなど基礎的な皮膚生理学の研究
皮膚の細胞や組織を使って、化粧品に配合される成分や植物エキスの効果を検証する業務がよく行われています。新しい製品が発売される際には、「このエキスは△△に効きます!」と科学的なデータをもとに示してもらった方が説得力がありますよね。
生物系の研究員はそのような化粧品のエビデンスデータを取得することが主な業務です。その他にも上記に示したような基礎的な皮膚生理学の研究も盛んに行われています。
化学系の仕事
次に化学系です。研究部門の化学系であれば、以下のような仕事が多いと思います。
- 化粧品に配合するための高分子(ポリマー)の設計
- 化粧品の乳化状態(水と油の混合状態)の研究
- 界面化学に関する基礎的研究
- 高性能の顕微鏡を用いた皮膚や化粧品の状態観察研究
化粧品は基本的に水と油の混合物であり、これらを上手く混合させること、つまり「乳化」が非常に重要です。乳化をコントロールするために、高分子や界面活性剤が使われていたりしますね。
この乳化の仕方ひとつで化粧品の感触(しっとり・さっぱりなど)や性能、安定性などが大きく異なってきます。このような乳化をコントロールする要素は何なのか?ということを基礎的に研究したり、目的の感触を発現させる方法論を考えたりといった研究が化学系では行われています。
また顕微鏡や分光装置などを使って皮膚の内部を観察したり、化粧品の乳化状態や日焼け止めなどに配合される微粒子の状態を観察したりする研究も行われていますね。
情報系・心理学系の仕事
近年増えてきている情報系や心理学系の研究についても紹介したいと思います。情報系や心理学系の仕事は主に以下のようなものになります。
- AIを使った顔のシワ、たるみなどの予測研究
- 顔や皮膚の画像の解析研究
- 化粧品を使用した際の感情に関する研究
- MRIなどを用いた脳科学の研究
近年は化粧品業界でもAIの活用が活発になってきており、大量のヒトの顔の画像をAIを用いて解析することで将来の顔を予測する、といった研究が行われていますね。このような研究は化粧品業界における新しいビジネスモデルに繋がると考えられ、現在非常に注目されています。またAIを活用してひとり一人に最適な化粧品を提案するという研究も行われています。
また最大手クラスの化粧品メーカーであれば、MRIなどを使って脳の様子を観察し、化粧品を使った時の感情を研究するといった超高度な研究も行われています。このような研究も、より多くの人に好まれる化粧品を開発する手助けになりますね。
研究部門ではこのような大学での研究活動に近い業務を通して、日々の化粧品開発をサポートする業務に取り組んでいます。
開発部門の仕事内容
次に開発部門の仕事内容です。こちらは研究部門とは少し毛色が異なります。
まず繰り返しになりますが、開発部門の仕事は製品を販売するために必要な業務がメインです。
化粧品にはたくさんのブランドがありますが、皆さんもご存知のように一定期間ごとに各ブランドから新製品が出たり、改良が行われていますよね。
このような新製品の販売や改良を行うには、非常に多くの業務が必要となります。具体的には以下のような業務です。
- 新製品の処方の検討とその性能評価試験の遂行
- 製品に使用する原料の選定や成分に関する法規制の調査
- 製品に関する他社特許の調査
- 製品販売のための薬事申請関連業務
- 商品企画部門や工場部門と連携した新製品生産スケジュールの策定
- 製品容器の検討や製品プロモーション戦略の策定
実際に一つの化粧品を世に出すためには、非常に多くのステップがあります。
初めに新製品の骨格となる化粧品の処方を決める作業が必要です。処方を決めるためにも価格や使用実績などから使える原料を一つ一つ選定したり、法規制や特許を調べたりと非常に多くの業務が発生します。
さらに新製品の試作品が完成したら、モニターさんなどに試作品を使ってもらい製品の性能を評価する試験を行います。これは試作品が本当に肌に良い効果を示すかどうか、安全かどうかなどについてのデータを得ることが目的であり、この試験準備や遂行も大変な業務です。
これをクリアすると実際の生産に移行しますが、生産の際には商品企画部門や工場部門と何度も打ち合わせを重ねながら、生産のスケジュールを綿密に立てる必要があります。
さらに製品をどんな容器に入れるのか、そしてどのように広告を打って宣伝していくのかなどについても、マーケティング部門などと打合せをしながら決めていく必要があります。
このように実際に製品を作って性能を評価する、工場で製品を生産しプロモーションするという業務を担うのが開発部門になります。既にお気づきのように色々な部署と密接に関わりながら仕事を進めていきます。残念ながら開発部門では学生時代の専門性はあまり業務に関係してきません。
上記には開発部門の代表的な仕事を示しましたが、実際には他にも数えきれないほどたくさんの業務を担当します。製品を世に出すということは非常に大変なことであり、そのためには開発部門の業務が必要不可欠なのです。
化粧品メーカー研究職のリアルライフ
ここまで、化粧品メーカーの研究職の仕事内容について詳しく解説しました。
とは言っても、実際本当はどんな感じで仕事しているのか中々イメージしにくいですよね・・・。私も就活生の頃は色々なメーカーの研究員の方から上記のような仕事の話をたくさん聞いていたのですが、いまいち仕事のイメージがつかなかった覚えがあります。
そこで就活生の皆さんによりリアルに化粧品メーカー研究職の仕事をイメージしてもらうために、研究部門と開発部門に所属する研究員の1日と1ヵ月の仕事のスケジュールをお見せしたいと思います。
実際の私の経験や社内、他社の知り合いへのヒアリングなども行い、仕事の状況を非常にリアルに再現してみました。
化粧品メーカー研究職 研究部門の日常
まず研究部門に所属する研究員の代表的な1日のスケジュールです。
基本的には午前も午後も実験ですね。実験結果はチーム内のメンバーや上司に共有し、レポートなどにまとめることもあります。
次に1ヵ月のスケジュールを見てみましょう。
基本的に実験の日が多いですが、出張したり学会に参加する日もありますね。
また月に1回程度、研究結果の報告会や雑誌会などがあり、まさに大学院時代のセミナーのような感じですね。
化粧品メーカー研究職 開発部門の日常
次に開発部門の1日のスケジュールを見てみましょう。
やはり研究部門とは少し仕事内容が違いますね。新製品の処方を試したり、薬事申請関連の書類作成なども入っています。
次に1ヵ月のスケジュールを見てみましょう。
社外のメーカーや他部署との打ち合わせが多いですね。処方検討や性能評価試験の準備、申請書類の作成など、業務がビッシリです。
開発部門の仕事は基本的に製品に紐づいており、おおむね仕事内容が定型化されています。また納期(締め切り)がある仕事が多いので、研究部門よりは比較的タイトなスケジュールで業務をこなしているという印象です。
研究部門と開発部門の連携
このように研究部門も開発部門もそれぞれ系統の異なる仕事を担当していますが、一つの製品を世に出すためには、これらの2部門が密接に連携して仕事に取り組むことが非常に重要です。
例えば上記のスケジュールで言えば、19日にある製品開発会議で研究部門と開発部門の研究員が一同に会し、担当する製品の研究・開発状況を共有します。この会議でこれからの製品開発方針を皆で議論したり、実験で取るべき科学的データについて議論したりします。
このように研究部門と開発部門は密に連携を取りながら、一つの製品を世に出すために協力して仕事を進めているのです。これらの部門が知識を出し合い、総合力で一つの製品を作り上げていくのが化粧品メーカーの仕事の面白さでもあります。
一つの化粧品を開発するということは非常に大変なことですが、このような過程を経て自分が関わった商品がデパートやドラッグストアに並んでいるのを見ると、大きなやりがいになるのは間違いありません。このようなやりがいを感じている研究員は多く、仕事における大きなモチベーションになっていると言えますね。
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以上、化粧品メーカー研究職の具体的な仕事内容について詳細に解説しました。ぜひ本記事を就活の業界研究の参考にしてみて下さい。
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本記事のまとめ
いかがでしたか?化粧品業界における研究職の仕事内容について、本記事で詳しく解説しました。
化粧品の研究開発の仕事においては大変なこともたくさんありますが、自分が担当した製品が世に出た時のやりがいは非常に大きいです。化粧品メーカーの研究職を志望する就活生の皆さんは、ぜひ本記事を就職活動の業界研究などに役立ててみてください。