なつなつ
ネット上には「エントリーシート完全攻略法」や「志望企業に通る自己分析の方法」などと銘打って、就活生に対して非常に高価な就活支援サービスが提供されているのをよく見かけます。
もちろん有益なサービスや情報も中にはありますが、一方で明らかに対価に見合っていないと思われるものも多く、就活生の皆さんはどの情報が正しいのか分からず、混乱しているのではないかと思います。
この記事では就活生の皆さんに本当に有益な就活情報を提供するため、自己PRの正しい書き方について解説します。
そして本記事はよくあるダラダラと長い解説付きの就活記事ではありません。エントリーシートの自己PRを書く上で重要なポイントだけを押さえて、出来るだけ短期間で大手企業の選考にも通過する自己PRを作成する方法論をお教えします。
この記事の手順に従って自己PRを書けば、基本的に誰でも選考通過率の高い自己PRが完成すると思います。ぜひ本記事を参考に、効率的にご自身の自己PRを作成してみてください。
もくじ
筆者のES通過実績について
まずこの記事を書くからには、そもそも私のエントリーシート通過実績が伴っていないと説得力がありません。私は大学院を卒業して現在は大手メーカーの研究職として勤務しています。
自身の就活中は大手メーカーの研究職のみエントリーしていますので、本記事は大手メーカーの研究職のエントリーに対して信頼性があると思って問題ありません。
ちなみに私のエントリーシート通過実績(一部)は以下の通りです。
<すべて研究職>
JAXA、味の素、キヤノン、東レ、 日産自動車、三菱電機、パナソニック、信越化学工業、AGC(旭硝子)、住友化学、ニコン、コニカミノルタ、リコー、その他大手化粧品メーカー多数
上記のように私は、幅広い業種の大手メーカー研究職にエントリーシートの通過実績があります。
ES通過率は95%以上で、26社エントリーを行い不通過は1社だけでした。このようなES通過実績を叩き出した方法論が知りたい方は、ぜひ以降を読み進めてみてください。
自己PRの定義
では本題に移ります。そもそも自己PRとはどういうものなのでしょうか?まずは実際のエントリーシートの設問を見てみたいと思います。下記は私が過去にエントリーしたとある企業のエントリーシートを忠実に再現したものです。
<エントリーシートの例>
Q1.あなたは学生時代にどようなことに最も力を入れて取り組みましたか?またその経験で何を得ましたか?(400字)
Q2.自己PRをご自由にお書き下さい。(400字)
Q3.あなた△△でどようなことに挑戦したいですか?(400字)
設問は3つだけでシンプルです。すべて400字以内の記入を求められていますね。多くの企業ではこのように3~5個程度の設問を設けています。この中で自己PRにあたるのはQ2ですね。これを完成させることが本記事の目的です。
自己PRの書き方について解説する前に、まずは自己PRとはそもそもどのような作業なのかについて定義を確認します。これは非常に重要なのでしっかり肝に銘じておいてください。
自己PRとは あなたの強みをあなた自身の経験に基づいて論理的に証明するプロセス である
この自己PRという作業の定義を意識しておくだけでも書き方がかなり変わってきます。ポイントは「あなた自身の経験」という部分と「論理的に証明する」という部分です。
企業がエントリーシートで就活生に自己PRを求める意義は、その応募者がどのような強みを持っているか知りたいためです。しかし何の根拠も無く「私の強みは行動力です!」とアピールしても、面接官に信じてもらえないでしょう。
だから論理的に納得感をもって自身の強みをアピールすることが求められます。ではその論理性、納得性を生み出すものは何でしょう?それは自身の経験です。経験というのはあなたの行動・思考・思想・能力を反映しているものなので、当然あなたの強みを裏付ける証拠になります。
つまり、自己PRを書くにはまず自己PRに使える経験をピックアップする作業が必要なのです。
自己PRの具体的な作成手順
ここから実際に大手メーカーの選考に通過する自己PRを最短で作成する方法を解説します。
これは私が自身の就活で試行錯誤し、さらに多くの就活生のエントリーシート添削を経験して導き出した鉄板プロセスです。ぜひ参考にしてみてください。
自己PRに使える経験を探す
第一に必要なのはこの作業です。いわゆる自己分析に近い作業になりますが、過度な自己分析は必要ありません。重要なのは自己PRに使える経験を探すことです。
では自己PRに使える経験とは何でしょうか?それは以下のような経験になります。
- 大学、大学院時代の経験
- 数値によって表現できる成果が伴っている経験
(例1)カフェのアルバイトで売上を△△%向上させた経験
(例2)塾講師のアルバイトで担当生徒の点数を△△点向上させた経験
(例3)サークルの全国大会で△位に入賞した経験
- 達成することが比較的困難な成果が伴っている経験
(例1)大学院時代に参加した学会で△△賞を受賞した経験
(例2)地域貢献活動が認められ△△のリーダーに抜擢された経験
(例3)英語の弁論大会で優秀賞を獲得した経験
まず大学、大学院時代の経験をピックアップするのは基本的にはマストだと思います。高校時代のエピソードは大学院生の場合6年近くも昔の経験になってしまうので、信憑性に欠けてしまいます。私としては自己PRに高校時代のエピソードを書くことをオススメしません。
そして重要なのは、数値によって成果を表現できる経験、比較的達成困難な成果が伴っている経験を探すことです。これらは必ず成果ベースで探して下さい。大手企業の選考においてはこれがとても重要です。
逆に言えば、このような成果が伴っていない経験は自己PRに書いてもあまり効果的ではないので初めから考えなくても大丈夫です。上記の条件を満たす経験を1つの自己PRについて1つだけ選んでください。
成果ベースで経験を探す理由は、成果が伴っていた方が説得力が増すためです。成果が無くても経験の中身で勝負するんだ!という方もいるかもしれませんが、そのような方は残念ながら大手企業の通過率は下がると思います。
なぜなら、大手企業に応募する学生はほとんどが学生時代に一定の成果を挙げた経験を持っていて、その経験を自己PRでアピールしているからです。少なくとも大手企業の選考においては、このような経験があって初めてスタートラインに立てると思ってください。
そんな経験なんて見つからない!という方もいるかもしれませんが、まずは以下のようなポイントで記憶をさかのぼって何とか1つ経験をひねり出してください。
- 自分のアルバイトやサークル活動をもう一度見直してみる
- 友人に自分に関する印象深いエピソードがないか聞いてみる
- 経験がないなら自ら行動して作り出す
自己PRに使える経験は意外とアルバイトやサークル活動などに隠れていることが多いです。また自分で見つけられない場合は、仲の良い友人に聞いてみるのも一つの手だと思います。そして就活まで時間がある方に限りますが、本当に経験が見つからないのであれば自ら行動して経験を作り出すことも重要です。
特に何も考えずにを送っていた人がほとんどだと思いますが、よくよく考えてみるとこの経験って数値で成果を表現できそうだなとか、もしかするとこの経験って見方によっては達成するのが難しそうだなと思う経験が誰でも一つはあるはずです。
この経験の抽出作業が自己PRを作成する上で最も重要になります。
文章フレームワークを設定する
自己PRに使える経験が1つ見つかったら、いよいよ実際に文章を書いていきます。この書き方にもコツがあるので解説します。
まず経験の抽出作業によって、数値で評価できる経験や、比較的困難な課題を解決した経験が手元にあると思います。これを基に、以下のフレームワークの△△の部分を埋めてみます。
このフレームワークは自己PRを書く上で非常に優秀なフレームワークなので、ぜひ使ってみてください。そしてポイントですが、まだこの時点で★★の部分、つまりあなたの強みを表現する部分は書かないでおきます。
例えばあなたが「塾講師のアルバイトで担当していた生徒の偏差値を約10向上させ、志望校に合格させることが出来た」という一定の成果が伴った経験を抽出したとしましょう。その場合、以下のように書いてみます。
自己PR例:塾講師のアルバイト
私の強みは★★です。(経験部分)。その結果、担当生徒の偏差値は約10向上し、志望校に合格させることが出来ました。この★★という強みは、貴社の業務にも必ず活かせるものと考えています。
まずは△△の成果の部分が埋まりましたね。
次に(経験部分) の部分を埋めます。ここであなたがピックアップした1つの経験をもとに、△△の成果を導き出すために行ったことを具体的に文章化してみます。自己PRは400字で書く場合が多いと思いますが、まず最初は400字を大幅にオーバーしても良いのでとにかく具体的に書きます。
そしてこの経験部分の文章を書く時の重要なポイントがあります。それが以下です。
今回設定した比較的達成の難しい成果を導き出すためには、それを達成するために乗り越えなければならない課題が存在し、その解決に向けてあなたが創意工夫して行った何らかの行動があるはずです。自己PRの文章で最も重要なのは、この「課題設定・その解決のための工夫や行動」の部分です。
例えば今回の場合、以下のように書いてみます。
自己PR例:塾講師のアルバイト
私の強みは★★です。学生時代、アルバイトで高校生対象の学習塾に塾講師として3年間勤務していました。学習塾では3人の高校生を担当していましたが、私が担当を始めた6月の時点では、その中の1人の生徒が志望校の目標偏差値に届いておらず、学力の向上が必要でした。そこで私は、担当生徒の学力を向上させるために指導方法を工夫しました。塾で採用されているテキストは現在の生徒の学力に合っておらず、難しすぎるのではないかと考えていました。そこで塾のテキストだけで学習を進めていくのではなく、生徒一人一人の性格や現在の学力に合わせて適切な教材を選択し、塾のテキストと合わせてこのテキストでも勉強をしてもらうように生徒に勧めました。生徒からは宿題の量が増えることで反感を買いましたが、自分がオススメしたテキストの勉強がなるべく生徒の負担にならないようにするため、生徒の学習スケジュールも自分で考えて生徒に提案しました。また生徒の親御さんともしっかりと話をして、生徒の学力が現段階で志望校に到達していないこと、塾のテキストが生徒には難しすぎることを説明し、追加のテキストの勉強に納得してもらいました。そして親御さんにもバックアップして頂きながら、家庭でもしっかりと学習に取り組める体制を整えてもらいました。その結果、担当生徒の偏差値は約10向上し、担当生徒を志望校に合格させることが出来ました。この★★という強みは、貴社の業務にも必ず活かせるものと考えています。(637字)
このようにまずは自分の思ったままで大丈夫なので、つらつらと経験談を書いていきましょう。この時点で文字数を気にする必要はありません。
この文章の中では、先ほどポイントとして挙げた「課題と工夫点・行動」は以下になりますね。
<課題>
・現時点での担当生徒の偏差値が志望校に届いておらず、向上が必要である
<工夫点、行動>
・生徒一人一人の性格や学力に合わせて適切な教材の使用を提案
・生徒の学習負担が増えないように学習スケジュールも提案
・親御さんとしっかりと話し、家庭での学習環境も整えてもらった
だいぶ自己PRの骨格が見えてきましたね!
強みを定義化し文章量を削減する
次に強みの定義化を行います。ここまでは比較的簡単に出来ますが、このあたりからだんだん難しくなってきます。
まず、上記でたくさん書き下した経験部分の文章を眺めてみて自分の強みを一言で表すなら何か?を考え、★★部分を埋めます。
例えば「主体的に行動し組織を動かす力」「成果を導く創意工夫性」「冷静に物事を見極める分析力」など経験によって様々です。この部分の文章には就活生の表現力が試されます。
ただしポイントとしては、この部分に深く悩みすぎないということです。この部分の表現はあくまでその後に続く経験談を一言で表したものであり、重要なのはその後の経験談そのものです。今回の場合ですと「創意工夫して成果を導く力」とでもしておきましょう。
次に、大量に書き下した経験部分の短縮を行います。ここが最も難しい部分になります。文章の短縮を行う時のポイントは以下の2つです。
- あなたの強みを証明するために不要な情報を徹底的に省く
- 単語や文章の意味は出来るだけ変えず、同じ内容で短い文章となるよう書き換える
このステップは就活生の表現力が大いに試されます。この作業が自己PRの作成で最も難しい部分だと思いますので、じっくり時間を掛けて短縮作業を行ってみてください。試行錯誤して、徐々に文章量を減らしていきましょう。
例えば今回の文章であれば、以下のように短縮、書き換えをしてみます
不要な情報の削除
私の強みは「創意工夫して成果を導く力」です。学生時代、アルバイトで高校生対象の学習塾に塾講師として3年間勤務していました。学習塾では3人の高校生を担当していましたが、私が担当を始めた6月の時点では、その中の1人の生徒が志望校の目標偏差値に届いておらず、学力の向上が必要でした。そこで私は、担当生徒の学力を向上させるために指導方法を工夫しました。塾で採用されているテキストは現在の生徒の学力に合っておらず、難しすぎるのではないかと考えていました。そこで塾のテキストだけで学習を進めていくのではなく、生徒一人一人の性格や現在の学力に合わせて適切な教材を選択し、塾のテキストと合わせてこのテキストでも勉強をしてもらうように生徒に勧めました。生徒からは宿題の量が増えることで反感を買いましたが、自分がオススメしたテキストの勉強がなるべく生徒の負担にならないようにするため、生徒の学習スケジュールも自分で考えて生徒に提案しました。また生徒の親御さんともしっかりと話をして、生徒の学力が現段階で志望校に到達していないこと、塾のテキストが生徒には難しすぎることを説明し、追加のテキストの勉強に納得してもらいました。そして親御さんにもバックアップして頂きながら、家庭でもしっかりと学習に取り組める体制を整えてもらいました。その結果、担当生徒の偏差値は約10向上し、担当生徒を志望校に合格させることが出来ました。このような創意工夫という強みは、貴社の業務にも必ず活かせるものと考えています。
文章の書き換え・短縮、最終仕上げ
私の強みは「創意工夫して成果を導く力」です。学生時代、学習塾のアルバイトで塾講師として勤務していました。私が勤務を始めた6月時点では、担当生徒の偏差値が志望校の合格ラインに届いておらず、学力の大幅な向上が必要でした。そこで私は、現在使用している塾のテキストだけで学習を進めていくのではなく、生徒の性格や現在の学力に適した教材を自ら選別し、これを併用して学習を進めていくことを考えました。また追加の学習が生徒の負担にならないように、一日単位の学習スケジュールを考え生徒に提案しました。さらに生徒の親御さんとも密にコミュニケーションを取り家庭の理解・協力を得ることで、生徒が学習に集中して取り組めるような家庭環境の構築にも務めました。その結果、担当生徒の偏差値は半年で10以上向上し、担当生徒を志望校に合格させることが出来ました。このような私の創意工夫性は貴社の業務にも必ず活かせるものと考えています。(399字)
文章量を減らした結果最終的に400字に収まれば、晴れて自己PRの完成となります。
この文章では塾講師におけるアルバイト経験において、担当生徒の偏差値が志望校のレベルに到達していないという課題を、
- 生徒の性格や学力に適したテキストの選定
- 一日単位の学習スケジュール策定による学習指針の提案
- 保護者との密なコミュニケーションによる家庭での学習環境整備
といった創意工夫性によって解決していますね。非常に具体的かつ読み応えのある文章になっていると思います。
そして注目すべきポイントは、自己PRの文章が小説のようにストーリー性を有している点です。これは自己PRに限ったことではありませんが、読み応えのある文章には必ずストーリー性があります。
文章を書き終えたら、内容のストーリー性を意識してもう一度自分の文章を見直してみましょう。
第三者に添削してもらう
ひとまず自己PRは完成しましたが、最後に作成した自己PRを第三者に添削してもらいます。ひとつの文章に対して、最低でも一回は添削してもらってください。これは大手企業を志望しているのであれば必須だと思ってください。
自分では完璧な文章だと思っても、他人が読んでみると実は色々な欠陥があるということが少なくありません。ですので、第三者に自己PRを添削してもらう作業は通過率を向上させるために必要です。
この添削作業を通して第三者が読んでも読み応えのある文章になっているか?自身の経験に基づいて論理的に強みが証明されているか?文章の日本語に誤りや不適切な点はないか?などをチェックしてもらいます。
学生どうしで添削することは私はあまりオススメしません。なぜなら社会人と学生の感覚は完全に同じではなく、社会人経験があるかないかの差は文章の性質に与える影響が大きいと考えるためです。
出来れば社会人経験があり、自分の志望業界の企業に勤務されている方などに添削して頂くのが好ましいです。また気軽に相談できるのであれば、ご両親に文章を添削してもらうのも良いと思います。
また身近に添削してくれる知り合いがいない場合は、有料添削サービスを使うことも出来ます。ココナラなどのサイトでは、比較的低価格でエントリーシートを添削してくれるサービスがたくさん存在します。私も学生時代はココナラの有料添削サービスを活用していました。
そして現在では私なつなつも、自身の経験を活かしてココナラで理系の研究職専門のエントリーシート添削サービスを行っております。
大手メーカー研究員が研究職のESを添削します 【1項目 1500円/A4研究概要 6500円】私の添削サービスでは自己PRなど一般的なエントリーシート項目の添削に加え、研究職の就活で重要となる研究概要の添削も承っております。
なお添削のクオリティを維持するため、添削の受付は一度に5名までとさせて頂いております。もし宜しければこちらの添削サービスも是非ご利用ください!
オススメの就活サービス
以上、大手企業の選考に通過する自己PRの正しい書き方について詳細に解説しました。ぜひ本記事を参考に納得のいく自己PRを書いてみてください。
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就活を進めていくと上手くいかないこともたくさん起こります。そんな時に気軽に相談できる、そして適切なアドバイスを貰える就活エージェントの存在はとても心強いです。
現在大変人気のサービスで面談の予約が取れないとのことですが、就活相談自体は無料でできますので、ぜひこの際に登録してみてはいかがでしょうか?
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本記事のまとめ
いかがでしたか?大手企業の選考に通過する自己PRを最短で書き上げる方法について解説しました。本記事の内容は研究職に限らず、多くの業界・職種においても応用することが出来ます。ぜひ本記事を活用して、効率的に自己PRを作成してみてください!