お仕事のご依頼はこちら

【5分で分かる皮膚科学】 肌の糖化とは?研究者が分かりやすく解説!

なつなつ

「糖化」という言葉を聞いたことがある人は多いと思いますが、皮膚科学的にはどのような現象を指すのでしょうか?この記事では肌の糖化についてサクッと分かりやすく解説します!

美容業界では糖化という言葉がよく知られていますね。ちょっと美容に詳しい人なら聞いたことがある言葉だと思います。そして糖化がお肌に与える影響は非常に大きいとも言われています。

一方で皮膚科学の視点から考えると、糖化は実はかなり奥が深い現象なんです。なんとなく糖化を理解している人がほとんどだと思いますので、本記事では皮膚の糖化について重要なポイントを押さえ、美容科学初心者にも分かりやすく解説したいと思います。

論文を引用しながらも5分で読めるような簡単な内容にまとめてみましたので、ぜひ本記事を参考に糖化を勉強してみてください!

糖化とは何か?

そもそも糖化とはどのような現象なのでしょうか?まずは困ったときのWikipediaで調べてみたいと思います。

糖化(とうか)とは、デンプン等の多糖類を、少糖類・単糖類に分解する化学反応のこと。動物や植物の生体内で起こるほか、菌類や細菌(糖化菌など)などが分泌する酵素、あるいは酸などによってもこの反応は進行する。

出典:Wikipedia「糖化」

ん~、申し訳ないですが非常に分かりにくい!(笑)

ただ一つ分かることは糖化は動物や植物の生体内で起こる化学反応であるということですね。これはまさにその通りで、実は糖化は皮膚だけでなく人間の体内のあらゆる部位で起こっています。

糖分は人間が食事で必ずと言っていいほど口にする栄養素です。つまり、体内のいたるところに糖分が豊富に存在しています。それは皮膚も同じです。このように体内に存在する糖分が化学反応を起こすことを一般的に糖化と呼びます。糖化は皮膚に限った話ではないんですよね。

ではこの「化学反応」とは何を指しているのでしょうか?Wikipediaの文章を見ていくと「糖を分解する化学反応」とありますね。糖化では体内に豊富に存在する糖が分解されているのです。これが糖化の正体です。

糖化を引き起こす原因

糖化は糖を分解する化学反応であることを学びました。ではなぜこのような化学反応が起きるのか解説していきます。

まずこのような化学反応を引き起こす原因は酸化ストレスであると言われています。酸化ストレスという言葉は研究者の中でも非常に曖昧な言葉として認識されていますが、要は酸化反応を起こす力のように考えて頂いてOKです。人間は常に体内に酸化ストレスを持っており、これが糖化を引き起こしています。

例えば人間は常に酸素を吸っていますが、酸素にはモノを燃やす力があるように体内でも様々な物質と反応するエネルギーを持っています。ごく簡単に言えば酸素が物質と結合する反応を酸化反応と呼び、糖の酸化反応が糖化です。糖化が起こると糖が分解されてしまいます。そしてこのような化学反応の結果として生成した分解物の総称を糖化最終産物(AGEs, エイジーイーズ)と呼びます。

人間は呼吸をしなければ生きられないので、酸素呼吸による糖化は基本的に避けることが出来ません。年齢を重ねれば皮膚に限らず体内で糖化が進行するのは当然のことです。

しかしながら加齢以外にも糖化を進行させる原因がいくつかあります。その代表的な原因のひとつが紫外線です。詳しくは説明しませんが、紫外線は比較的大きなエネルギーを持っており、このエネルギーが酸素に移動することで反応性の高い酸素(活性酸素)が生成します。その結果、酸素が糖と反応しやすくなり糖化が起こりやすくなります。

紫外線を浴びるのは当然皮膚です。つまり皮膚は紫外線によって糖化が起こりやすくなっていると言えるのです。

糖化によって皮膚で何が起こるのか?

ここまでで、糖化とは酸化による糖の分解反応であること、そして糖化は紫外線によっても引き起こされることを学びました。しかし糖が分解されているだけでそんなに悪い事あるの?と思った人もいるかもしれません。そこで次に、糖化が起こると皮膚でどのようなことが起こるのかについて解説していきます。

まず糖化によって生成する具体的な糖の分解物を見ていきましょう。こちらの論文では糖化によって生成する分解物(糖化最終産物)の例が示されています。

構造や名前を覚える必要は全くありません。へーこんなのが出来るんだ~ぐらいに思っていてください。重要なのは上の図の赤丸で囲った部分、アルデヒド基です。糖化によって糖が酸化分解されると、このようなアルデヒド基と呼ばれる構造を持つ物質がたくさん生成します。

そしてこのアルデヒド基は、皮膚のタンパク質と非常に反応・結合しやすいということが知られています。タンパク質とAGEsが結合するとどうなるでしょう?当然ながら、それはタンパク質のダメージに繋がります。

本来正しく機能していた皮膚のタンパク質が正しく機能しなくなったり、本来とは異なる異質な状態になったりします。つまり皮膚のタンパク質にAGEsがくっつくことで、タンパク質の機能が低下して様々な不都合が起こるのです。

糖化の進行によって皮膚で発生する具体的な現象についてはこちらの論文に非常に分かりやすくまとめられているので、代表的なものを以下に紹介します。

シワ・たるみの発生

コラーゲンやエラスチンなどの真皮のタンパク質にAGEsが結合することにより、肌の弾力が低下することが知られています。その結果、肌のたるみ深いシワが引き起こされます。

以前こちらの記事でも紹介しましたが、真皮のコラーゲンやエラスチンは線維のネットワークを形成しており、これによって肌の弾力を保っています。これらの線維にAGEsが結合することでタンパク質の構造がゆがみ、シワやたるみに繋がります。

【アンチエイジング】シワ・たるみの原因と対策を徹底解説

透明感の低下・黄ぐすみの発生

糖化は肌の透明感の低下黄ぐを引き起こすことも知られています。先ほども化学式を示しましたが、タンパク質に結合するAGEsはその多くがカルボニル基(化学式:C=O)を有しています。

このカルボニル基は皮膚に入射した光の特性を変化させることが知られており、その結果肌の明るさが低下し、くすみが引き起こされると言われています。

炎症の惹起

糖化によって皮膚の炎症が引き起こされることも知られています。糖化によって生成したAGEsは、皮膚のRAGEと呼ばれる特定の受容体タンパク質に結合します。

このAGEsとRAGEの結合によってサイトカインと呼ばれる炎症を伝達するタンパク質が分泌され、結果として皮膚の炎症が引き起こされると言われています。

このように糖化は、皮膚に様々な悪影響を及ぼすことが知られているのです。

糖化の進行を防ぐには?

糖化はシワやたるみ、くすみ、さらには炎症に至るまで様々な皮膚のトラブルの原因になっていることを学びました。加齢による糖化を防ぐのは中々難しいですが、紫外線による肌の糖化は日焼け止めで対策が可能であると考えられます。

また先ほどの論文では抗糖化作用のある物質としてローマカミツレ(カモミール)、 ドクダミ、 西洋サンザシ、 ブドウ葉抽出物などが挙げられています。これらの物質はいわゆる抗酸化作用のある成分を多く含んでいると考えられます。

糖化は糖の酸化反応でしたね。つまり酸化を抑える抗酸化物質が糖化の抑制に効果的と考えられます。特にハーブ類は抗酸化物質であるポリフェノールを豊富に含むため、日常的な糖化対策としてはオススメです。カモミールティーなどのハーブティーは手軽に飲めて良い糖化対策になると思います。

 

また enherb(エンハーブ) などのハーブ専門店では品揃え豊富なハーブ製品を購入することができます。ハーブティーや料理用ハーブなど、毎日の食事にハーブを取り入れてみてはいかがでしょうか?

 

ビタミンCビタミンEと言った抗酸化物質も糖化の抑制に効果的であると考えられます。私は栄養不足を補うことも考えて、定番のネイチャーメイドのマルチビタミンを毎日1錠飲むようにしています。

 

糖化は目に見えない変化ですので日々の予防が大切ですね。日焼け止めと抗酸化物質で糖化対策!皆さんも綺麗な肌を保ちましょう!

本記事のまとめ

・糖化とは酸化による糖の分解反応である

 

・糖化によって生成した物質(AGEs)が皮膚のタンパク質にダメージを与える

 

・日焼け止めや抗酸化物質が糖化の抑制に効果的である

参考文献・ホームページ

・Wikipedia HP「糖化」

・Free Radical Research, 2013; 47: 3–27

・Anti-Aging Medicine, 2011,  8 (3) : 23-29

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です