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【アンチエイジング】シワ・たるみの原因と対策を徹底解説

なつなつ

30代になるとお肌のシワやたるみに悩み始める人も多いですよね。でもシワやたるみってどのように引き起こされるのでしょうか?この記事ではどのようなメカニズムでシワやたるみが生じるのか、皮膚科学的視点から徹底解説します!

最近お肌のシワやたるみが気になり始めた・・・。30代になると多くの人が感じていることかもしれません。一方で30代や40代になってもまだまだお肌が若々しく、シワやたるみが少ない方もいます。この違いは何なのでしょう?

その秘密を知るためには、どのようにしてシワやたるみが引き起こされるのか?を知る必要があります。シワやたるみのメカニズムや原因を知ることが出来れば、その対策が出来ますよね。本記事では多くの人が悩んでいるシワ・たるみについて、その発生メカニズムを皮膚科学的に徹底解説します。これは10代や20代の若年の方々にもぜひ知っておいて欲しい情報です。

本記事を読めば、アンチエイジングに対する一歩踏み込んだ知識が身に付きます。ぜひ本記事を美容系の教材や皮膚科学の勉強にお役立てください。

シワ・たるみが起こる状態とは? 

そもそもシワ・たるみとは皮膚科学的にどのような現象を指すのでしょうか?これを知るためには、まず初めに皮膚の構造を知る必要があります。そもそも皮膚は大きく分けると ①表皮 ②真皮 ③皮下組織 の3つの部位から構成されています。

この中で、老化によるシワやたるみに関連するのは ②真皮 であると言われています。

真皮にはシワやたるみに関連する非常に重要なタンパク質が豊富に存在しています。それがコラーゲンとエラスチンです。真皮には繊維芽細胞(せんいがさいぼう)と呼ばれる細胞が存在しています。この細胞がコラーゲンやエラスチンを産生しています。真皮の成分はこのコラーゲンとエラスチンがほとんど(70~90%)を占めています。

そしてこのコラーゲンとエラスチンの最大の特徴は、タンパク質分子が互いに何個も結合して非常に長い線維を形成しているということです。さらにこの線維どうしも架橋分子で結合されています。

下の図では少しリアルに真皮の内部を再現してみましたが、真皮ではこのようにコラーゲンやエラスチンの線維が無数に張り巡らされ、複雑に絡み合っています。これらの線維がクッションのような役割を果たすことでお肌のハリを保っているのです。線維芽細胞はこの線維のクッションの中に点在するような形で存在しています。

コラーゲンがお肌のハリに良いという情報は何となく皆さん知っていると思いますが、それはコラーゲンがこのように真皮で線維を形成し、クッションのようにハリを保つ役割を果たしているためです。

これが真皮の正常な状態です。それではシワやたるみが発生している状態とはどのような状態を指すのでしょうか?一般には、以下の3つのような状態になっていると言われています。

シワ・たるみが発生している真皮の状態
  • コラーゲン・エラスチン線維の量が減っている
  • コラーゲン・エラスチン線維が切断されている
  • コラーゲン・エラスチン線維がデタラメに結合されている

分かりやすいように以下のような図に表してみました。ひとつひとつ解説していきます。

コラーゲン・エラスチン線維の量が減る

コラーゲンやエラスチン線維の量が減ることでシワやたるみが引き起こされます。これはイメージしやすいですが、線維の量が減ることで単純に真皮のクッション性や弾力が低下し、結果としてたるみが引き起こされます。さらに線維の量が局所的に減少すると肌が局所的にたるむことにもなるため、結果としてシワのようなデコボコした形態変化にも繋がります。

コラーゲン・エラスチン線維が切断される

こちらは非常に重要な現象ですが、シワやたるみが発生している皮膚ではコラーゲンやエラスチンの線維が切断されていることが明らかになっています。正常な状態では長い線維でハリや弾力を保っていたわけですから、これが切断されることで肌がゆるみ、弾力が低下することは想像できますよね。さらに①と同様に局所的にたるみが発生することでシワも発生します。

コラーゲン・エラスチン線維がデタラメに結合される

こちらも非常に重要な現象ですが、特に深いシワが発生している皮膚ではコラーゲンやエラスチン線維が本来とは異なる分子によってデタラメに結合されるという現象が起こります。もともとコラーゲンやエラスチンの線維は適切な架橋分子によって結合されています。この状態であれば問題はないのですが、異質な分子によって本来あるべき姿とは異なる形式で結合されてしまうと問題です。真皮の線維が別の分子によってデタラメに結合されるということは、線維の形がゆがんだまま固定されてしまうということです。その結果、皮膚全体の形もゆがんでしまい、非常に深いシワが引き起こされます。

このような3つの状態が真皮で起こることによって、以下の図のようにシワやたるみが引き起こされるのです。

シワやたるみが引き起こされる原因

シワやたるみが発生している皮膚ではどのようなことが起こっているのか、お分かり頂けたと思います。それではこれらの状態を引き起こす原因はいったい何なのでしょうか?

結論から申し上げると、その原因のほとんどは太陽光であると言われています。太陽光が引き起こす様々なダメージによって正常な真皮の線維が変化し、結果としてシワやたるみが引き起こされているのです。

2013年にロレアルが発表したこちらの有名な論文では、大規模調査によって顔のシワ・たるみの8割が太陽光を浴びることによって悪化することが示されています。このような太陽光によって引き起こされる肌の老化を光老化(ひかりろうか)と呼びます。これに対して加齢によって進行する一般的な老化を自然老化と呼びます。この論文では顔のシワ・たるみの8割が太陽光によって引き起こされる光老化であるということを非常に強く示唆しているのです。

冒頭で述べた「同じ40代でも人によってはシワやたるみが目立たない人がいる」という理由の一つには、太陽光を浴びてきた時間の違いがシワやたるみの程度に影響している可能性が考えられます。

そして太陽光の中でも最も皮膚にダメージを与えるが紫外線です。紫外線は太陽光の中でも最もエネルギーの大きい光であり、シワやたるみを引き起こすことが古くから知られています。紫外線は波長によって以下のようにUVA・UVB・UVCの3種類に分類されます。

ここが重要なポイントですが、UVCはそもそも地表に届かず、UVBも基本的には表皮までしか届きません。コラーゲンやエラスチン線維のある真皮に届くのはUVの中でもUVAのみです。つまりシワやたるみを引き起こす主要な紫外線はUVAであると言えます。

*UVBが全くシワやたるみに関与しないということではありませんが、真皮までほとんど透過しないことから、UVAとシワ・たるみの関連性が議論されることが多いです。また最先端の研究では可視光線近赤外光もシワやたるみに関与していることが明らかになってきていますが、情報量が少ないため今回は省略します。

シワ・たるみの発生メカニズム

ここまでの説明からUVAがシワやたるみを引き起こす主要因であることがお分かり頂けたかと思います。それではUVAがどのようにシワ・たるみを引き起こしているのか、さらに詳細に解説していきます。

再度おさらいですが、シワやたるみが生じている皮膚では真皮のコラーゲン・エラスチン線維が以下のような状態になっていました。

シワ・たるみが発生している真皮の状態
  • コラーゲン・エラスチン線維の量が減っている
  • コラーゲン・エラスチン線維が切断されている
  • コラーゲン・エラスチン線維がデタラメに結合されている

それぞれについてUVAがどのように関与しているかを解説していきます。

細胞のコラーゲン産生量が低下する

こちらの論文では、UVAの照射によって線維芽細胞のⅠ型コラーゲン産生量が低下することが示されています。Ⅰ型コラーゲンは真皮のコラーゲンの中でも最も量の多いコラーゲンです。さらにこの原因には、小胞体と呼ばれるタンパク質を分泌する機構に異常が生じていることも示唆されています。

これらの結果はUVAを真皮の細胞に照射することによって遺伝子的にコラーゲンの産生量が低下するということを意味しています。つまりUVAは真皮の大部分を占めるコラーゲン線維の量を減らす直接的原因であると言えます。このような現象が起こった結果コラーゲン線維の量が減少し、結果として肌の弾力の低下やシワ・たるみが引き起こされるのです。

MMPやエラスターゼが増加する

こちらの論文では、線維芽細胞に対するUVAの照射によってマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)やエラスターゼと呼ばれる酵素の量が増加することが明らかとなっています。この2つの酵素はシワやたるみの発生において非常に重要な酵素で、化粧品のターゲットにもよくなりますので是非覚えてみてください。

マトリックスメタロプロテアーゼはMMPとも呼ばれますが、コラーゲン線維を切断・分解する酵素です。UVAを浴びることによって真皮で増加することが確認されています。またエラスターゼエラスチン線維を切断・分解する酵素です。こちらもUVAを浴びることで真皮での増加が確認されています。

UVAによってコラーゲンやエラスチンの線維を切断する酵素が増加することから、もともとは長かった線維が切断されてしまいお肌のハリが低下します。その結果としてシワやたるみが発生してしまうのです。

糖や脂質の酸化物が生成する

UVは大きなエネルギーを持っていると説明しました。そのエネルギーが皮膚中の酸素を活性化させ、活性酸素発生させます。さらにこの活性酸素が皮膚中に豊富に存在する糖質や脂質に結合すると、これらが次々と酸化されていきます。

その結果生成するのが、糖化最終産物(AGE)や脂質過酸化最終産物(ALE)です。糖が酸化される一連のプロセスを糖化反応と呼んだりもしますね。このAGEやALEはただの糖や脂質ではありません。酸化されたことによって、コラーゲンやエラスチンなどのタンパク質と反応・結合する分子に変化しています。

こちらの論文には様々なAGE・ALEの分子種が記載されています。そしてこれらのAGEやALEの中には、タンパク質と結合する部位を2か所持っているものがあります。有名なものですと、メチルグリオキサールリジンダイマー(MOLD)マロンジアルデヒド(MDA)などがあります。

これらの分子は2か所でタンパク質と非特異的に結合します。つまりコラーゲンやエラスチンの線維どうしをデタラメに結合させ、これらを無理やり固定してしまうのです。その結果として、深いシワを引き起こされると言われています。

以上をまとめると、このようになります。

シワ・たるみの原因 UVA照射によって起こること
①線維の量が減る 遺伝子的にコラーゲン線維量が減少
②線維が切断される 線維の切断酵素(MMP・エラスターゼ)が増加
③線維がデタラメに結合される AGE・ALEが線維間をデタラメに結合

UVAが主な原因となって、真皮のシワやたるみを引き起こしていることがお分かり頂けたと思います。

シワ・たるみの対策方法

これまでの説明からシワ・たるみがどのように発生するのか、皮膚科学的なプロセスが理解できたと思います。ではこのようなシワ・たるみを防ぐにはどうしたらよいのか、最後に私の見解を述べたいと思います。

シワ・たるみを防ぐために重要なポイントは以下の3つだと考えられます。

シワ・たるみを防ぐために重要な3つのポイント
  • シワ・たるみを「予防する」という考え方を持つこと
  • 日焼け止め(日焼け止め効果のある化粧下地)を基本的に毎日使用すること
  • 家の中でも紫外線対策をしっかり行うこと

ひとつひとつ解説していきます。

シワ・たるみを「予防する」という考え方

まず、シワ・たるみに対する考え方についてアドバイスです。

これまで説明したようにシワ・たるみは真皮のコラーゲン・エラスチン線維の変化です。しかしこの変化というのは少しずつ蓄積されていく変化であるため非常に気づきにくく、また気づいた時には既に手遅れになっていたということも少なくありません。さらに真皮の線維の変化は、化粧品などで簡単に改善できるものでは決してありません。

ですのでたとえ現在シワやたるみが気になっていなくても、将来手遅れとならないようにシワやたるみを予防する努力を行うことが非常に大切であると思います。

これはシワが気になり始めた30代の方だけでなく、まだ気になっていない10代・20代の方にも言えることです。将来のシワ・たるみを予防するためには、若い頃からの紫外線対策が必須と言って良いと思います。

日焼け止め(日焼け止め効果のある化粧下地)を毎日使用する

シワ・たるみを予防する具体的な方法とは何でしょうか?最も効果的なのはやはり日焼け止めだと思います。

これまで説明したように、肌のシワ・たるみの8割は太陽光が引き起こしていると言われています。つまり単純に太陽光をシャットアウトさえすれば、シワ・たるみの発生の8割を遅らせることが出来ると考えられるのです。

このことから、少しでも外出する際には必ず日焼け止めを塗っておくことがシワ・たるみのない綺麗なお肌への近道だと思います。毎日の習慣として日焼け止めを塗るようにしてみてください。

シワ・たるみにはUVAの影響が大きいため、UVAの防御指標であるPA値を基準にして日焼け止めを選ぶと良いと思います。日本で販売されている日焼け止めは PA+、PA++、PA+++、PA++++ の4段階でUVAの防御能が規格されています。

単純にPAが高ければ良いというわけではなく自分の肌に合う日焼け止めを選ぶのが一番です。女性で普段メイクをされる方は、自分の肌に合う製品の中から日焼け止め効果の高い化粧下地を選ぶと良いでしょう。

家の中でもしっかりと紫外線対策を行う

もう一つオススメのシワ・たるみ対策が、家の中でもしっかりと紫外線対策をすることです。

実はシワ・たるみの原因となるUVAはでも比較的多く地表に降り注いでおり、ガラスや窓を通り抜けて家の中にも降り注いでいます

つまりたとえ家の中に居たとしても、実はシワ・たるみの原因となるUVAを多く浴びてしまっているということが結構あるのです。

全く外出しない日には無理に日焼け止めを塗る必要はないと思いますが、以下のような窓ガラスに張り付けるUVカットフィルムなどで家の中でも一年中しっかりとUV対策を行うことは、紫外線の影響をもれなく排除するために非常に重要だと思います。 

日光をあまりにも浴びていない場合ビタミンDが不足するので良くないと言われていますが、やはり顔に太陽光を浴びることはシワやたるみの直接的な原因になってしまうのでリスクも大きいです。

ビタミンDは顔に紫外線を浴びなくとも腕や足、手のひらなどの皮膚でも合成することが出来ますし、以下のようなサプリメントで摂取することも可能です。

 

少なくとも顔については日焼け止めをしっかりと塗り、家の中でも窓ガラスにUVカットフィルムを張り付けてしっかりと紫外線対策を行いましょう。これを習慣づけるだけでも、10年後・20年後のシワ・たるみの程度は大きく変わってくると私は思っています。

以上、本記事では手軽にできるシワ・たるみ対策として以下の3つをオススメさせて頂きました。

シワ・たるみ対策として重要な3つのポイント
  • 若い頃からシワ・たるみを「予防する」という考え方を持つこと
  • 日焼け止め(日焼け止め効果のある化粧下地)を基本的に毎日使用すること
  • UVカットフィルムで家の中に降り注ぐ紫外線もカットすること

シワ・たるみの対策には正しい美容知識が必要です。これらのポイントをしっかりと押さえて、ぜひシワ・たるみのない綺麗なお肌を目指してみてください。

本記事のまとめ

・真皮ではコラーゲン・エラスチンが線維を形成している

 

・UVAによってこれらの線維が異常な状態になり、シワやたるみが引き起こされる

 

・シワやたるみは予防が大切であり、日焼け止めの使用や家の中での紫外線対策がオススメである

参考文献・ホームページ

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・Clinical, Cosmetic and Investigational Dermatology, 2013, 6, 221–232.

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・SCCJ 化粧品用語集:コラーゲン、エラスチン(https://www.sccj-ifscc.com/library/glossary_detail/602、https://www.sccj-ifscc.com/library/glossary_detail/211)

・J.Soc.Cosmet.Chem.Jpn., 2013, 47, 3, 197-201.

・Free Radical Research,  2013, 47, 3–27.

・International Journal of Molecular Sciences, 2015, 16(4), 7776-95.

・資生堂ANESSA 製品HP (http://anessa.shiseido.co.jp/shigaisen/spf_pa/)

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