お仕事のご依頼はこちら

【完全保存版】 毛穴トラブルの原因と対策を皮膚科学の根拠に基づいて徹底解説!

なつなつ

多くの人が一度は悩んだことがある毛穴トラブル。本記事では毛穴トラブルがなぜ起こるのか、皮膚科学的なエビデンスに基づいて原因と対策を徹底解説します!

毛穴の黒ずみや開き・目立ちなどは、誰もが一度は経験したことがある肌悩みだと思います。しかし毛穴トラブルは多くの人が抱えている問題にも関わらず、その原因や対策方法について皮膚科学的な根拠に基づいて解説した記事はほとんどありません。

本記事では多くの人が悩む毛穴トラブルについて、皮膚科学の視点から原因と対策を徹底解説します。どのようにして毛穴の黒ずみや開きが生じるのか、難しい論文の内容も出来るだけ分かりやすく興味を持って読んで頂けるような内容にしています。

なお本記事を書くにあたって30報近い論文や特許を改めて読み直し、徹底的にリサーチを行いました。記事の最後に参考文献も多数記載しておりますので、ぜひ本記事を参考にして美容科学の勉強にご活用ください。

毛穴の構造

毛穴はそもそもどのような構造をしているのでしょうか?イラストを使って、以下の図のように分かりやすく示してみました。

赤色の部分は表皮であり、毛の周りを表皮が取り囲んで毛包を形成しています。毛穴ではこのように、表皮がより皮膚の奥の方まで深く落ち込んでいるような状態になっています。これが毛穴の構造のポイントです。

さらにもう一つ重要な構造があります。それが皮脂腺です。毛穴には上部に皮脂腺があり、ここから絶えず皮脂が分泌されています

このような構造を取っている毛穴ですが、実は毛穴トラブルについてはこれまで皮膚科学的な研究があまり進んできませんでした。その理由は以下です。

毛穴の研究が進んでこなかった理由
  • 毛穴周辺は皮膚深度が深く、直接的な観察が難しい
  • 毛穴トラブルは病気ではなく、軽微な皮膚トラブルである

毛穴周辺は上記に示したように通常の皮膚とは異なる特殊な構造を取っており、毛穴にターゲットを絞った観察研究がそもそも難しいです。

また毛穴の黒ずみや開きは軽微な肌トラブルであり病気ではないですよね。このように本来深刻ではない肌悩みに関する研究というのは基本的にはほとんど進んでおらず、毛穴トラブルに関する論文も実はそれほど多くありません

よって毛穴に関する研究も実はほとんど進んでいないのが現状です。毛穴トラブルについて皮膚科学的視点から解説した記事が少ないのも納得ですね。

毛穴トラブルの原因

毛穴の構造について理解できた所で、本題の毛穴トラブルの原因を解説したいと思います。

しかし今回私もかなりたくさんの論文を読みましたが、やはり毛穴トラブルの原因に関する明確な結論は出ていないというのが現状だと思います。その主な理由は以下のように感じました。

毛穴トラブル研究が難しい理由
  • 毛穴の大きさはそもそも個人差(遺伝の寄与)が大きい
  • 同じ人の毛穴でも目立つ毛穴と目立たない毛穴が存在する
  • 皮膚の中で毛穴のみに限定した研究はそもそも難しい

皮膚科学的には、毛穴の大きさは非常に個人差が大きいと言われています。また同一人物でも大きい毛穴と小さい毛穴が混在しており、これらを区別して研究することが難しいです。

さらに皮膚の中でも毛穴はほんの一部分に過ぎません。このようなわずかな領域の毛穴にターゲットを絞って研究すること自体、非常に困難なことなのです。

いくつか毛穴目立ちの原因を検証した論文はありますが、種々因子との単なる相関解析にとどまっており、なぜ毛穴が開くのか?という疑問に直接的に答えるものはありませんでした。

ですので「実は良く分かっていない」というのを念頭に置いて頂き、ここからは私の研究者としての考察も入れながら「なぜ毛穴トラブルが発生するのか?」を論文ベースで解説していきたいと思います。

毛穴周辺の表皮が皮脂のダメージを受ける

まずは有名なこちらの論文からご紹介します。毛穴が開く原因として語られることが多いのがこの内容です。以下に研究内容と結果を簡単に示します。

試験内容
  • 94名の白人女性を試験対象とした。
  • 被験者を毛穴目立ちの程度によって以下の3つのグループに分割した。

(A)毛穴が目立たない人

(B)毛穴が中程度に目立つ人

(C)毛穴が非常に目立つ人

  • これらのグループで皮膚の物性値に変化があるかを調査した。

試験対象の変化から皮膚物性の変化に落とし込んでいく化粧品系では典型的な論文です。毛穴の写真はこちらに掲載できないので、実際に論文をご覧ください。

この3グループを比較した結果、毛穴が目立つ人に特徴的な皮膚の変化は以下のものであることが分かりました。

試験結果
  • (A)毛穴が目立たない人 と比較して(C)毛穴が非常に目立つ人 は皮脂の量が約2.5倍多かった
  • 特に(C)では皮脂中のオレイン酸パルミトレイン酸の比率が高かった

このあと著者らはこちらの論文で、毛穴が目立つ人の皮脂に多く含まれていたオレイン酸パルミトレイン酸をヘアレスマウスに滴下して、その刺激性を評価しています。

その結果、オレイン酸やパルミトレイン酸により表皮の不全角化(ターンオーバーの異常)が引き起こされることが示されています。ちなみに、この他の皮脂の成分では異常は認められていません。またマウスだけでなく実際のヒトの皮膚でも不全角化が認められています。

この結果から、皮脂中のオレイン酸やパルミトレイン酸が毛穴周辺の表皮にダメージを与え、その結果として毛穴の開きやコメド(ニキビのもと)の形成に関わっている可能性が示唆されています。

先ほど皮脂は毛穴から分泌されることを学びました。つまり皮脂の量が多いと毛穴も開きやすくなるのは容易に想像できますよね。これは、この他の様々な論文でも確認されている事実です。

一方この論文では、皮脂の量だけでなく皮脂の成分も毛穴の開きに関与している可能性を示唆しています。皮脂中に一定量含まれるオレイン酸やパルミトレイン酸は不飽和脂肪酸と呼ばれ、このように不飽和結合(二重結合)を有しています。

このような不飽和脂肪酸は、一般に皮膚に対する刺激が強いと言われています。

つまりこの論文では、皮脂中のオレイン酸やパルミトレイン酸が毛穴周辺の表皮にダメージを与えることで毛穴の形状を変化させ、結果として毛穴を目立たせているという可能性を示唆していると言えますね。

目立つ毛穴の形態観察

目立つ毛穴を顕微鏡を使って観察したこちらの論文も有名です。

この報告では共焦点レーザー顕微鏡という特殊な顕微鏡を用いて、頬で目立つ毛穴の内部構造を直接観察しています。その結果、目立つ毛穴には以下のような特徴があったと述べられています。

目立つ毛穴の特徴
  • 目立つ毛穴は実験器具のロートのように深く沈んだ形になっている
  • 目立つ毛穴周辺では表皮が厚くなっている

目立つ毛穴はまさにロートのように先端が細長い形になっているということですね。詳細なイメージ図は論文に記載されていますのでご覧ください。

また重要なのは「表皮が厚くなる」という部分です。表皮が厚くなるという現象は基本的に紫外線刺激などでターンオーバーが乱れた際に起こります

つまり目立つ毛穴周辺は表皮がダメージを受けている証拠と言えます。これは一つ前に紹介した論文の内容とも合致しますね。

この他にも目立つ毛穴周辺では表皮の過増殖(異常な増殖状態)が起こっているという報告もあることから、毛穴周辺の表皮がダメージを受けることで毛穴が目立って見えるのは恐らく間違いなさそうです。

しかし表皮のダメージが毛穴形状の変化にどのように関与しているかについては、まだ研究が進んでいる段階だと考えられます。

毛穴の黒ずみの原因

毛穴の黒ずみに悩む方も多いと思います。この黒ずみの原因として語られるのが多いのが角栓が酸化されることで黒くなるというものです。

ただ私はこの考察に関して色々と調べたのですが、どうやら感覚で語っているようで確かなエビデンスのあるものは見当たりませんでした(もしあったら教えてください)。

確かに角栓の酸化物が黒く見えるというのはあり得そうですが、私が調べた限りではまだ科学的に証明されていないと感じます。実際に角栓を取ってみると分かりますが、黒ずんでないですよね。せいぜい薄めの肌色ぐらいだと思います。

ただ角栓が存在することによって毛穴が目立つようになるのは事実のようです。こちらの論文では、毛穴の中に角栓が存在することでより毛穴が目立つ肌になることが確認されています。毛穴に角栓が存在することで角栓が無理に毛穴を押し広げ、開いているように見えると考察されていますね。

私が見つけた論文の中で最も黒ずみに関係しそうだった研究結果がこちらの論文に示されています。

有料ジャーナルなので全文は読めませんでしたが、概要はこちらのニュースリリースにも簡単にまとめられています。この報告によると、実は毛穴の黒ずみは毛穴周辺の皮膚が盛り上がったことによって生じる影が原因であると考察されています。

引用:ポーラオルビスホールディングス ニュースリリース

毛穴が目立たない人の肌はなめらかで平らですが、毛穴が目立つようになると毛穴周辺がデコボコして粗くなり、その結果として毛穴に影ができて黒く見えるということですね。

毛穴周辺がデコボコする原因としては、酸化された皮脂が皮膚にダメージを与えコラーゲンの産生を促進することで形状が変わるためと考察されています。

この結果や考察はとても納得できます。恐らく紫外線などで酸化された皮脂が毛穴周辺にダメージを与え、デコボコとした形状に変化させることで毛穴を目立たせているのでしょう。

毛穴の黒ずみについては毛穴中の産毛が原因であるという考察を行う資生堂のホームページを見つけましたが、こちらは検証データは示されていません。

毛穴の黒ずみについては色々な説がありそうですが、いずれも角栓や皮脂によるダメージがその原因となっていることは間違いなさそうですね。

たるみによる毛穴の開き

加齢によって増えるのがいわゆるたるみ毛穴です。

たるみと毛穴の関係についてはこれまでも調べられていますが、こちらの論文ほど詳しく調べたものはありませんでした。こちらには過去の研究結果のまとめも含めて分かりやすく記載されています。

例えば年齢と毛穴の面積は正に相関することが明らかになっています。つまり歳を取れば毛穴の面積が大きくなるということですね。さらに毛穴の形は加齢に伴って細長い楕円形になっていくことも有名です。

この論文では加齢によって肌の弾力が低下すると共に、毛穴の面積が増加し縦長になっていく傾向が確認されており、これはまさに肌がたるむことで毛穴を細長く広げ目立たせている証拠であると言えると思います。しっかりとこの現象を確認できたのはこの報告が初めてに近いでしょう。

以下の記事でも紹介しましたが、肌のたるみは真皮のコラーゲンやエラスチン線維の変化でした。これはコラーゲン・エラスチンの線維が太陽光によってダメージを受け、そのダメージが蓄積されることで生じるものでした。

【アンチエイジング】シワ・たるみの原因と対策を徹底解説

このことからも加齢によって真皮の線維がダメージを受けて肌がたるみ、その結果としてたるみ毛穴が生じるのはリーズナブルだと言えます。

毛穴トラブルの対策方法

ここまで色々と毛穴トラブルの原因について論文ベースで解説してきました。

これらの情報をまとめると毛穴トラブルの原因は大きく分けて皮脂(量・成分・酸化)・角栓・たるみが関係していると推察されました。これは多くの皮膚科学研究者の間でも共通認識と考えて良いと思います。

そしてこれらの論文で述べられていることを総合的にまとめると、毛穴トラブルの原因は年齢によって異なるということが言えそうです。

先ほど紹介した論文の中でも考察されていましたが、20~30代には皮脂分泌や角栓形成が原因となる毛穴トラブルが多く、40~50代になるにつれてたるみが原因の毛穴トラブルが増えてきます。これは大規模な実態調査でも明らかになっています。

加齢によって皮脂の分泌量は低下することも知られていますので、これも妥当な考察だと思います。このように毛穴トラブルの原因は主に年齢によって異なっていると予想されるため、それぞれに合わせたケアが必要と言えるでしょう。

それではここからは、それぞれの原因に対してどのように対処すべきか考察してみます。

過剰な皮脂分泌の対策

まず若年層に多い皮脂の過剰分泌への対策です。

しかし皮脂の分泌量は非常に個人差が大きいと言われており、恐らくこれが毛穴トラブルの大きな個人差の原因だと考えられます。皮脂の分泌に影響を与える因子は食事や種々ホルモン、体温、気温など非常に様々で、これらが複雑に絡み合って皮脂の分泌量が決定されています。

季節ごとや一日の中でも皮脂の分泌量は大きく変化しますので、どの因子がどの程度寄与しているかも詳細には分かっていないのが現状です。

ただ食事から摂取する脂質の量を減らすことは、ある程度の効果が見込めるのではないかと推察されます。

皮脂の主成分はトリグリセリド(中性脂肪)であり、皮脂成分の約30~40%を占めます。こちらの論文には食事由来の中性脂質が皮脂腺を増大させること、さらにこちらの論文には高脂肪食がトリグリセリドなどの皮脂成分の分泌を促進することが記載されていますので、中性脂質など脂質の多い食事を避けてバランスの良い食事を心掛けるのは効果的と考えられます。

またこちらの論文にもあるように、紫外線が皮脂腺を刺激して皮脂分泌を活性化する可能性も近年示唆されています。このことから日焼け止めが皮脂分泌を抑制するために重要であると考えられます。

さらに先ほどのポーラの報告にもありましたが、酸化した皮脂が表皮にダメージを与えることは有名です。よって皮脂の酸化を防ぎ毛穴周辺の表皮へのダメージを低減するためにも、日焼け止めは重要と言えるでしょう。

近年の報告では、アクネ菌によっても皮脂分泌が促進されることがハムスターで確認されており、皮脂の分泌に関しては本当に数えきれないほどの因子が関わっていると考えられます。

皮脂分泌に関する研究は現在も進行中で未だ解明されていない点が多いですが、セルフケアで皮脂分泌対策を行うとすれば、脂質の多い食事を出来るだけ避け、日焼け止めを使うことが手軽だと感じました。

角栓の対策

角栓は毛穴の中で皮脂と角層が混合されて形成される複雑な構造物です。ただ角栓が形成される過程には様々な説があり、未だ不明な点が多いと言えます。

ですので角栓への対策も基本的には確立された方法は存在せず、様々な手法が試みられている状況です。

例えば皮脂の量が多いからといって角栓が多いというわけでもないことがこちらの特許で示されており、単純に皮脂の分泌を抑えればいいというわけではなさそうです。

ただ角栓の洗浄に有効な洗顔料角栓形成を抑制する化粧品などは多く販売されていますよね(メカニズムがよく分からないものもあるとは思いますが・・・)。

本記事では具体的には紹介しませんが、これらの洗顔料や化粧品の中から自分に合ったものを効果的に使いながら角栓形成を抑制していくことが、毛穴トラブル対策には重要と考えられます。

たるみの対策

たるみの対策はこれまでも紹介してきた通り、日焼け止めが効果的です。真皮のコラーゲンやエラスチン線維は太陽光によって生じる活性酸素などにより、切断されたりデタラメに架橋されたりします。

【アンチエイジング】シワ・たるみの原因と対策を徹底解説

このようなダメージが長い年月を掛けて蓄積されることでたるみが引き起こされますので、たるみ毛穴を予防するためには若い頃から日焼け止めをしっかりと使用することが重要と考えられます。

本記事のまとめ

以上、毛穴トラブルの原因と対策について皮膚科学の視点から徹底的に解説しました。

これらを総合的に考察すると、毛穴トラブルの解決には脂質量に配慮した食事日焼け止め角栓洗浄や角栓形成抑制効果のある化粧品が手軽に行えるケアであると考えられます。

もちろん上記はあくまでセルフケアで毛穴トラブルに対処する手法ですので、より即効性を求めるのであれば美容皮膚科などに相談した方が早いと思います。

美容皮膚科領域ではビタミンA誘導体(トレチノイン・イソトレチノインなど)の適用や、ケミカルピーリングレーザー治療などを用いて大きくなった毛穴を改善していくことが一般的です(参考文献)。

以下の美容クリニックは人気も実績も非常に豊富なので、毛穴にお悩みの方は一度相談してみてはいかがでしょうか?無料で相談できますので、ぜひお気軽にカウンセリングを受けてみてください。

 

毛穴トラブルに本気で悩んでいて即効性を求めるなら早めに美容皮膚科に相談するべきだと思いますが、手軽に毛穴トラブルを改善したいと感じている方は今回示した3つの方法にトライしてみてはいかがでしょうか?

スキンケアは日常の積み重ねですので、根気よく続けることで変化が現れます。毛穴トラブルを解決するために、是非継続して取り組んでみてください!

参考文献・HP

・Cosmetics & Toiletries magazine, 2004, 119

・Journal of Investigative Dermatology, 2005, 124, 5, 1008-1013.

・日本香粧品学会誌, 2016, 40, 1, 1–7.

・日本化粧品技術者会 化粧品用語ライブラリー「毛穴」
(https://www.sccj-ifscc.com/library/glossary_detail/482)
 
・毛穴の黒ずみの正体は産毛と影!?資生堂研究員が解く毛穴問題
(https://www.shiseido.co.jp/sw/beautyinfo/DB006571/)
 
・J. Soc. Cosmet. Chem. Japan,  2007, 41, 4, 262-268.
 
・Skin Res. Technol. , 2014, 20(1), 23-29. 
 
・ポーラオルビスグループ ニュースリリース
(http://www.pola-rm.co.jp/pdf/release_20150430.pdf)
 
・Arch. Dermatol. Res., 2010, 302(9), 661-667.
 
・J. Soc. Cosmet. Chem. Jpn., 2009,  43(1), 3-9.
 
・オレオサイエンス, 2005,  第5巻,  第10号
 
・油化学, 1988, 第37巻,  第10号 
 
・日本香粧品学会誌, 2016, 40, 1, 8–11. 
 
・J. Invest. Dermatol., 1970, 55(5), 303-309.
 
・J. Investig. Dermatol. Symp. Proc., 2005,  10, 194 –197.
 
・国内特許登録番号, 6424011,  角栓形成抑制効果を有する素材のスクリーニング方法
 
・Cosmetic Dermatology, 2016, 98, 33-36.
 

1 COMMENT

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です